【コンテスト作品】初めての恋の相手はファーストキスを奪った御曹司でした。
そんな彼に私は、「だったら、なんだって言うんですか」と言葉を返す。
「ふーん」
この人の言うとおりだ。私は恋愛をしたことが一度もない。 人を好きになったこともないし、告白もされたことがない。
人を好きになることがそんなにいいことなのかも、分からない。 恋愛とか結婚とか、私にはどうでもいいのだ。
恋愛なんて私には不必要。恋愛なんて邪魔になるだけ。
ずっとそう思っている。
「さっき俺の顔見て、顔が赤くなってたからそうなのかとは思ってたけど、やっぱそうなんだな」
「……恋愛なんて、私には必要ありません。それに、顔が赤くもなってません」
私は百合原さんの顔を確かにちゃんとは見れない。 確かに百合原さんは、世間様から見てもカッコイイと思う。
俳優さんとかモデルさんとかと言われても、おかしくはないし。
「恋愛が必要ないなんて、奏音は変わってるな」
「変わっててもいいです。 これが私の生き方、なんです」
百合原さんは私の隣に来ると、「奏音はそれで楽しいの?生きてて」と聞いてくる。
「……あなたには、関係ないと思いますけど」
「奏音みたいな人に出会ったのは、初めてだわ」
「それは、どういう意味ですか?」