偽物の天才魔女は優しくて意地悪な本物の天才魔法使いに翻弄される
ことごとく間違える表情
「ハ!ヤ、トっ………!こ、こんにちは。職員室に何か用?」
焦りすぎて、挙動不審になっている。
「やぁ。うん、ちょっと頼まれごとで」
ハヤトは何か書類を持っている。
「そ、そうなのね。今の話、聞こえた?」
「いや、聞いてないよ」
ハヤトが首を横に振る。良かった、聞かれてはいないようだ。オリビアは安心して立ち去ろうとしたが、ふと足を止めた。
「そうだ、これ」
オリビアは、どうだ、と言わんばかりに、テスト用紙を見せつけた。
ハヤト、どう?100点よ。
「へぇ」
ハヤトが少し驚く。
「ふふん」
得意気なオリビア。
しかし、次の瞬間、ハヤトはオリビアの頭をポンポンと撫でた。
「っ!?」
「すごいじゃないか。頑張ってるもんね、オリビアは。偉い偉い」
オリビアは突然の事に面食らい、顔を赤くして怒った。
「な、何するの!?やめてよ!」
「あはは、ごめんごめん」
「だからね、あなたに褒めて貰いたくて見せてるんじゃないのよ」
「そうなの?ニコニコ可愛く見せてくれるから、てっきり僕にこうして欲しいのかと思った」
オリビアは、突然可愛いと言われてドキッとする。
「え…!?ち、違うから!!えっと、そう!あなたは何点なのかって聞きたいのよ!」
「ああ、そういえば僕も満点だったよ」
ハヤトは平然と答えた。オリビアはため息が出た。
「…聞かなきゃ良かった。じゃあ、さよなら」
オリビアはハヤトの横をすり抜けた。