偽物の天才魔女は優しくて意地悪な本物の天才魔法使いに翻弄される
最後の抵抗(※)
ハヤトの手は、制服のスカートから伸びる足を撫でる。オリビアが足を閉じようと力を入れるが、のしかかった彼の足がそれを許さない。
ぐいと開かされ、徐々に中央へと手が向かっていく。そこだけは阻止しようと必死に手を伸ばすと、今度は胸への愛撫が激しさを増した。ダメだよ、と言いたげに、彼の舌は強く吸い付き、口の中で舐めては噛んでを繰り返す。
「……あぁ……!」
刺激が強すぎる。ダイレクトに伝わってしまう快感から逃れたいが、目隠しされているネクタイが取れない。オリビアは何度も引っ張ったが、魔法で貼り付いたそれは自分の体の一部になったかのように目を覆い隠して離れない。
「オリビア、見えなくて辛いね。次は何されるか分かる?」
そうしている間に彼の手は、足の付け根へと到達した。ひっ、と喉の奥で悲鳴を上げる。
ハヤトは秘部をゆっくりと撫で始めた。下着を掻き分け、割れ目に沿って指を上下させられると、嫌でも自分がどうなっているか分かってしまう。くちゅ、と音がして、恥ずかしさで溢れた涙がネクタイに染みていく。
全身を攻め立てられ、オリビアは呼吸を乱しながら、悔しさに顔を歪ませた。成績は敵わない。逃げても捕まり、戦っても勝てない。そして今、最も弱い部分を弄ばれている。この人は、どれだけ自分のプライドを傷付ければ気が済むのだろう。
「んん……ふぅ……ん……!」
最後の抵抗に、せめて声だけは出してやるものかと、歯を食いしばった。しかしそれも、彼によってすぐに打ち砕かれる。
「オリビア…そろそろ気付こうよ。そんな顔されても、僕は嬉しいだけだよ」
ハヤトは愛おしそうにオリビアの頬を包み込むと、強引に唇を重ねた。驚いた彼女の唇をこじ開け、舌を差し入れる。口の中を味わいながら、下をまさぐる手はオリビアの一番敏感な場所を探り当て、ぐりっと押し込んだ。
「んんっ!!」
オリビアの体がビクンと跳ねる。思わずハヤトの肩を思い切り押すも、それも捕らえられ、指を絡められる。
「はぁ…我慢してるの可愛い…させないけど」
指の動きが激しくなる。くるくると円を描くように動かされ、オリビアの真っ暗な視界の中に火花が見え始めた。ハヤトの薄い唇が離れると、ついに大きく声を出してしまった。
「あっ!は、ああぁっ……!」
「いいよ、気持ち良くなって」
細長い指が陰核をこねるように触りながら、中へと侵入してくる。ゆっくりと抜き差しされ、それがだんだんと速くなってくると、もはや喘ぎ声しか出せなくなった。
「あっ、だっ、め、ああ…!」
「オリビア……」
「あっ……ああっ!」
「好きだよ」
──もう、無理だ。
「も……もうだめっ……!いっ……は……あぁっ!」
体が弓なりにしなる。ハヤトにしがみつく。オリビアの体は限界を迎え、彼の腕の中で達してしまった。
***
「はあっ……はぁ…」
(私、ハヤトにこのままされちゃうの…?)
ハヤトに強く抱きしめられる。逃れたいがただ息を切らし、その腕の中で余韻を感じることしか出来ない。
「あぁ、可愛いかった。そうだ、動けない内に…」
ハヤトは胸元に顔を近づけ、肌を強く吸った。軽い痛みを感じ、オリビアはわずかに顔をしかめる。
そして、突然視界が明るくなった。ようやくネクタイを外された。真上の外灯の光が目に入り、眩しさに目を瞑る。
「しるしつけておいたから。続きはまた今度、これが消える頃にしようね」
「うう…なにしてくれてるのよ……」
絶望の最中の言葉に、文句を言いながらもひとまず今日は最後まで無理矢理される事は無いのだと、安心する。その表情にハヤトが気付き、優しく頭を撫でた。
「大丈夫。僕もそこまで自分勝手じゃないさ。その時はちゃんと同意して貰うから」
「充分自分勝手よ!最低っ…!」
オリビアはなんとか体を起こし、顔を真っ赤にして怒りながら乱れた衣服を整えた。自分たちを覆っていた暖かい魔法の空間もいつの間にか消え去り、冬の冷気が流れこんできていた。
「でもさオリビア、君が勝ってたら付き合ってくれてたんだね。それってどういう事かな」
ハヤトはオリビアの横に座り、戦いの際に彼女が出した条件について質問した。
「……」
「僕の事好きって事?」
「…違います。あなたがしつこいから、ああでも言わないと引かないでしょう」
オリビアの手は途端にまごつき、うまくボタンが留められなくなる。
「そうか。じゃあ、また勝負しようね。僕はいつでも大歓迎だよ」
ハヤトはニコニコと楽しそうな笑顔を浮かべる。
「……もう二度としないっ!!」
オリビアは辺りに散らばったホウキや杖、上着をかき集めると、ハヤトに背を向けて逃げるようにして夜の空を飛び去った。