偽物の天才魔女は優しくて意地悪な本物の天才魔法使いに翻弄される
全て忘れて(※)
───初めてじゃない。
こう見えて、私にも経験はあるのよ。
でも、慣れている訳でもない。
そんなはずなのに、足をはしたなく開かせて、いま私は彼を迎え入れようとしている。
ハヤトはゆっくりと私の中心に近づき、小さく「ごめん」と呟いた。どうして謝るの?いいって言ってるじゃない。
切っ先が触れた後、彼は動きを止めた。私に迷いのある目を向けてきたハヤトに、微笑みかける。ほんのわずかに躊躇し始めた彼の大切なところに優しく触れ、自分の入口へと導く。なにを今さら遠慮しているのよ。私としたかったんでしょう?
彼はゆっくりと侵入してきた。熱くて、中が満たされていく。恥ずかしい気持ちよりも、喜びが勝る。抱きしめられたその背中に腕を回す。
しばらく触れ合った後、ハヤトは私の様子を確かめながらゆっくりと動き始めた。やがて彼は我慢をやめ、私が頷いたのを見て、額にキスをしてから、徐々にそのスピードを上げた。
汗が流れる。少し苦しいけれど、構わない。幸せさえ感じる。
ふと、彼の魔法の杖が目に入った。この杖を使って、さっき、私を助けてくれた。私が使えない魔法で。私の出せない速さで。
あれ?私、今日なにしにここへ来たんだっけ。
どうして、今まで嫌がっていたんだっけ…………………
「んっ、あっ、あっ、ああっ」
ハヤトが激しく腰を打ち付けてくる。私には今のこの状況が、もう理解出来ない。
「オリビア、オリビア、好きだよ」
「わ、わた、しも、すきぃ」
彼の動きに合わせて口が勝手に返事をする。何も考えられない。とにかく燃えるように熱い。私は今何を口走った?今それを伝えていいの?自分で言ってて分からない。
「ほんとに?ほんと?」
ハヤトが腰を動かしながら、確かめるように頬を撫でてくる。分からない。どうでもいいから、もっと気持ち良くさせてよ。答える代わりに、頬に触れるハヤトの手を胸に持っていった。
いつもはあんなに余裕たっぷりな彼も、今は息を切らせて、額に汗を浮かべて、必死に私を求めている。彼に対する、ほんの少しの優越感を初めて感じて、私は彼の丸い頭を撫でた。
好きだ、好きだと何度も囁かれ、何度も奥を突き上げられて、私は簡単に果ててしまった。
「あ、あぁあ……っ!はぁ……は……」
「オリビア……ごめん、まだ……」
「うんっ、いいよ、ハヤトも、一緒に……」
体を密着させて腕を回してくる彼を抱きしめ返す。キスをして、舌を絡め合う。妬んでいたはずのハヤトの全てを受け入れる。
やがて、ハヤトの動きはさらに速さを増し、最後の瞬間を迎えようとしているのが分かった。
「くっ…オリビア……!」
「ん……あぁ……っ!!」
ハヤトが苦しそうにしている。なんだか、嬉しい。どくんと脈打つ感覚の後、私たちは同時に達して、繋がったまま抱き合った。