伊月くんと僕は、どうかしている(野いちご版)
 なんとか伊月くんをお風呂場に放り込むことに成功したけど、セットに入ってたトリートメントは「そんな女々しいもんいらねえ!」という謎理論が展開されて突き返された。捨てるのももったいないから、もらって帰ろう。サラサラヘアーになるかな。

「伊月くん、どう?」

 お風呂場の戸が開いて、伊月くんが顔を出す。服を濡らさずに頭だけ洗うのは難易度が高いだろうってことでパンイチになってる。

 ブリーチ剤を落として露わになった伊月くんの髪は……

「ムラだらけ!」

 でも、伊月くんは笑顔だった。

「やっぱムズいな! 次は金貯めて染めに行く」

 伊月くんはニコニコしているけど、その頭は結構な惨劇だった。
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