青空の下、きみと一緒に。
落ち込んでいると、急に後ろから弾むような明るい声に名前を呼ばれて、条件反射みたいにトクンと胸が高鳴った。


振り返ると、細身ですらっとした体型の男の子が、こっちに向かって駆け寄ってくるのが見える。


千賀谷(ちがや)くん」


千賀谷くんこと千賀谷(あおい)くんは、私と同じ図書委員で、1つ年下の1年生。


半年前。本の貸し出し作業に手こずっていた彼に、私がやり方を教えたのがきっかけで知り合った。


今は会う度に楽しくおしゃべりをするぐらい、仲のいい先輩後輩の関係だけど、私は密かに彼に思いを寄せている。


「おはよう。朝から元気だね」

「はいっ。今日は待ちに待った体育祭なんで! 僕、こう見えて体を動かすのが好きなんですよ」

「そうなの⁉」


私は目を見開いた。


千賀谷くんって、『いいとこ育ちの中世的な美少年』って雰囲気の見た目なのに、中身は体育会系なんだ。


意外過ぎる一面だな……。


「お互い全力で頑張りましょうね、先輩っ」


千賀谷くんの透き通った瞳にまっすぐに見つめられて、胸の奥がキュンとする。


今年こそ体育祭をサボればよかったかもって後悔してたけど……、今はその逆。


真面目に参加して正解だったかも!


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