教会を追放された元聖女の私、果実飴を作っていたのに、なぜかイケメン騎士様が溺愛してきます!
「お前は、団長に婚約破棄されたのを苦に自害した、って筋書きさ。まあ、お前みたいな孤児が一人死んだくらい何ともないが、公爵家が絡むと面倒だからな」
「安心して? 死んだことにするだけですから。あなたは一生ここで私たちのために働くんだから。良かったわね? 本当は殺したいのに、神官長がダメだって言うから」
エミリアからは狂気が感じられる。本当にエレノアを殺したかったのだろう。
「あら……」
騎士に押さえつけられ、両手を床についていたエレノアの指にエミリアが目をとめる。
「なんて似つかわしくないものを……!」
エレノアの薬指にはめられたイザークからの指輪を取り上げると、エミリアはそれを掲げるように見た。
「返して!! ……うっ……」
反射的にエミリアに飛びつこうとしたエレノアは、騎士によってその場に縫い止められてしまう。
「ミモザはカーメレン公爵家の家紋。このサファイアも、イザーク様の瞳の色ですわ。……イザーク様ったら、私への贈り物をこんな泥棒に預けるなんて……」
「泥棒はそっちじゃない!!」
エミリアは溜息を吐きながらも、指輪を自身の指にはめた。エレノアの抗議もまったく耳に届いていない。
「エミリア様を泥棒呼ばわりとは!」
「あっ……!」
騎士に押さえつけられていたエレノアは、顔をグランによって蹴られて倒れ込む。
「泥棒はあなたでしょう? 私のイザーク様を横取りしたのだから」
瞳に憎悪を宿らせ、今度はエミリアがエレノアの手を踏みつける。
「痛っ……」
「ふん、やっぱり汚い手ね」
エミリアとグランは笑いながらも何度もエレノアを痛みつけた。
「エミリア様、使い物にならなくなりますのでそのへんで……」
痛みに耐えながらも遠くなりそうな意識の中、神官長の声が入口から聞こえる。
「ふん、何でこんな卑しい子を」
止めに入った神官長にエミリアは口惜しそうに言うも、神官長は宥めるように続けた。
「エレノアの聖水はあなたが作ったことになっています。大聖女の地位を揺るぎない物にするためにも何とぞ……」
「まあ、死ぬまで私の役に立てるのだから良かったわね。イザーク様も私が幸せにしてあげますから、安心してここにいなさい」
(ザーク様……会いたい……。一緒に私が幸せになりたかった。してあげたかった……)
意識が遠のきそうになりながら、エレノアの脳裏にはイザークの笑顔が蘇る。
いつも嬉しそうに、甘く微笑むイザークに何よりも幸せをもらっていたのはエレノアだ。
(もし、みんなが言うように私がザーク様にあんな顔をさせていたのだとしたら、私はこの先も……)
冷たい床に転がるエレノアは、意識が消え入りそうになりながらも目から涙がこぼれ落ちるのを頬で感じた。
「エレノア!!」
意識を手放そうとしたとき、一番聞きたい声がエレノアの耳に飛び込んだ。
「安心して? 死んだことにするだけですから。あなたは一生ここで私たちのために働くんだから。良かったわね? 本当は殺したいのに、神官長がダメだって言うから」
エミリアからは狂気が感じられる。本当にエレノアを殺したかったのだろう。
「あら……」
騎士に押さえつけられ、両手を床についていたエレノアの指にエミリアが目をとめる。
「なんて似つかわしくないものを……!」
エレノアの薬指にはめられたイザークからの指輪を取り上げると、エミリアはそれを掲げるように見た。
「返して!! ……うっ……」
反射的にエミリアに飛びつこうとしたエレノアは、騎士によってその場に縫い止められてしまう。
「ミモザはカーメレン公爵家の家紋。このサファイアも、イザーク様の瞳の色ですわ。……イザーク様ったら、私への贈り物をこんな泥棒に預けるなんて……」
「泥棒はそっちじゃない!!」
エミリアは溜息を吐きながらも、指輪を自身の指にはめた。エレノアの抗議もまったく耳に届いていない。
「エミリア様を泥棒呼ばわりとは!」
「あっ……!」
騎士に押さえつけられていたエレノアは、顔をグランによって蹴られて倒れ込む。
「泥棒はあなたでしょう? 私のイザーク様を横取りしたのだから」
瞳に憎悪を宿らせ、今度はエミリアがエレノアの手を踏みつける。
「痛っ……」
「ふん、やっぱり汚い手ね」
エミリアとグランは笑いながらも何度もエレノアを痛みつけた。
「エミリア様、使い物にならなくなりますのでそのへんで……」
痛みに耐えながらも遠くなりそうな意識の中、神官長の声が入口から聞こえる。
「ふん、何でこんな卑しい子を」
止めに入った神官長にエミリアは口惜しそうに言うも、神官長は宥めるように続けた。
「エレノアの聖水はあなたが作ったことになっています。大聖女の地位を揺るぎない物にするためにも何とぞ……」
「まあ、死ぬまで私の役に立てるのだから良かったわね。イザーク様も私が幸せにしてあげますから、安心してここにいなさい」
(ザーク様……会いたい……。一緒に私が幸せになりたかった。してあげたかった……)
意識が遠のきそうになりながら、エレノアの脳裏にはイザークの笑顔が蘇る。
いつも嬉しそうに、甘く微笑むイザークに何よりも幸せをもらっていたのはエレノアだ。
(もし、みんなが言うように私がザーク様にあんな顔をさせていたのだとしたら、私はこの先も……)
冷たい床に転がるエレノアは、意識が消え入りそうになりながらも目から涙がこぼれ落ちるのを頬で感じた。
「エレノア!!」
意識を手放そうとしたとき、一番聞きたい声がエレノアの耳に飛び込んだ。