教会を追放された元聖女の私、果実飴を作っていたのに、なぜかイケメン騎士様が溺愛してきます!
「……無自覚か……」
「へっ……」
「君は、君の聖女の力が口にするものに付与してこそ、というのは自覚している」
「はい……」
「飴を作る時に力は?」
「飴を薄くするために力を使っているだけですが……」

 そこまで質問に答えると、オーガストはまた溜め息を吐いた。

「君のその力が強いため、意志に関係なく飴に付与されてしまっているようだ」
「ええ?! そんなはずありません!」

 エレノアはオーガストの言葉に驚いた。

(だって、私は用無しになって教会を追放されたのよ?!)

 驚きつつも、エレノアはきっぱりとオーガストに言い切る。

「私は聖女の力が枯渇し、教会を追放されました。確かに、付与の力の方が高いことを教会側は知りません。それでも、力が弱まったことには変わりありません」

 飴に力が付与されていたなら、エレノアにも銀の光が見えたはずだ。それが見えない、ということは本当に支障のない僅かな力なのだろう。そんな僅かな魔力すらもわかってしまうなんて、「鑑定」持ちは恐ろしい。エレノアはオーガストの能力にぞくりとした。

(でも、人を癒やすことも、聖水を作ることさえ出来なくなった私なんて用無しなんだから)

「君は自己評価が低いんだな」

 そんなことを考えていると、エレノアの手を握り続けてくれていたイザークが悲しそうな顔でこちらを覗いた。

(どうして、あなたがそんな顔をするんですか……)

 イザークの表情に、胸がきゅう、となる。

「とにかく、やっとここからが本題なのだが……」
「長かったですね」

 切なくなりながらも、エレノアはオーガストの言葉についツッコんでしまった。

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