教会を追放された元聖女の私、果実飴を作っていたのに、なぜかイケメン騎士様が溺愛してきます!
「恵みに感謝を」
席につき、テーブルに祈りを捧げる形でオーガストが代表して口上を述べた。
エレノアはぼんやりと寂しさに思いを馳せながらも、オーガストの口上を聞きながら祈りを捧げた。
祈りが終わるとジョージの合図で次々に料理が運び込まれた。
まだ見たことのない使用人たちが皿を運んで来たが、ジョージとエマが主にサーブをする。
(そう言えば、こんな大きなお屋敷なのにあまり使用人さんたちとすれ違いもしない)
じっとジョージやエマを見ていると、ジョージがエレノアの視線に気付いて微笑んだ。
「イザーク様は人が多いのを好まれませんので、イザーク様がここにいらっしゃる時は使用人の数を絞っております」
ジョージの言葉に、単純に世話をする人が増えれば、使用人の数も増やすものじゃないか? とエレノアは疑問に思いつつも、イザークに配慮してのことだというのとはわかった。
(教会でさえ人手が足りない時は私まで招集されるのに)
表舞台の仕事は上位の聖女の仕事だが、大きな魔物討伐が行われるとエレノアたちも駆り出された。
(まあ、一緒にすることじゃないか。私も本当は自分のことは自分でしたい質だし)
一人納得したエレノアは、オードブル、スープと順番に出された物に手を付けていく。
(美味しい……! 流石公爵家のお料理。こんなに美味しいもの食べたことない!)
メインディッシュが運ばれると、エレノアは目を輝かせる。
カシスのソースがかかった鴨肉の断面は、ピンクに薄付き、見た目も美しい。
ナイフとフォークで切り分けて口に入れると、何とも柔らかい。
あまりの美味しさに、ほっぺたが落ちそうだと、エレノアが顔をニコニコさせていると、皆から視線が集まっていた。
(あれ、私、食べ過ぎ?)
ここまで、美味しすぎて料理を完食していたエレノアは、はしたなかったか、と焦る。
(でも、食べ物を粗末にしては罰が当たるもの。食べられることは有り難いことだけど……)
不安で手を止めて、皆を見返せば、隣のイザークは甘く微笑む。
「美味しいか?」
「はい、とても……」
「それは良かった」
「ええと?」
イザークだけは明らかに皆と違う空気だ。
「いや、不躾にすまない。君は孤児院出身だと聞いていたからね……エマにサポートさせるつもりだったが……」
「私の出る幕なんてありませんでしたよ」
甘い笑顔のイザークに顔を赤くしつつも首を傾げていると、オーガストが口を開いた。
どうやら、このテーブルマナーのことを言いたいらしい。
「君はそのマナーをどこで身に付けたんだい?」
「オーガスト……」
オーガストの言葉に、イザークが表情を変えて睨みつける。
孤児院出身であるエレノアを気遣ってくれているのがわかった。
エレノアはそんなイザークに大丈夫だと言う意味で笑みを向けると、オーガストに向き直った。
「シスターです。孤児院のシスターに教わりました」
席につき、テーブルに祈りを捧げる形でオーガストが代表して口上を述べた。
エレノアはぼんやりと寂しさに思いを馳せながらも、オーガストの口上を聞きながら祈りを捧げた。
祈りが終わるとジョージの合図で次々に料理が運び込まれた。
まだ見たことのない使用人たちが皿を運んで来たが、ジョージとエマが主にサーブをする。
(そう言えば、こんな大きなお屋敷なのにあまり使用人さんたちとすれ違いもしない)
じっとジョージやエマを見ていると、ジョージがエレノアの視線に気付いて微笑んだ。
「イザーク様は人が多いのを好まれませんので、イザーク様がここにいらっしゃる時は使用人の数を絞っております」
ジョージの言葉に、単純に世話をする人が増えれば、使用人の数も増やすものじゃないか? とエレノアは疑問に思いつつも、イザークに配慮してのことだというのとはわかった。
(教会でさえ人手が足りない時は私まで招集されるのに)
表舞台の仕事は上位の聖女の仕事だが、大きな魔物討伐が行われるとエレノアたちも駆り出された。
(まあ、一緒にすることじゃないか。私も本当は自分のことは自分でしたい質だし)
一人納得したエレノアは、オードブル、スープと順番に出された物に手を付けていく。
(美味しい……! 流石公爵家のお料理。こんなに美味しいもの食べたことない!)
メインディッシュが運ばれると、エレノアは目を輝かせる。
カシスのソースがかかった鴨肉の断面は、ピンクに薄付き、見た目も美しい。
ナイフとフォークで切り分けて口に入れると、何とも柔らかい。
あまりの美味しさに、ほっぺたが落ちそうだと、エレノアが顔をニコニコさせていると、皆から視線が集まっていた。
(あれ、私、食べ過ぎ?)
ここまで、美味しすぎて料理を完食していたエレノアは、はしたなかったか、と焦る。
(でも、食べ物を粗末にしては罰が当たるもの。食べられることは有り難いことだけど……)
不安で手を止めて、皆を見返せば、隣のイザークは甘く微笑む。
「美味しいか?」
「はい、とても……」
「それは良かった」
「ええと?」
イザークだけは明らかに皆と違う空気だ。
「いや、不躾にすまない。君は孤児院出身だと聞いていたからね……エマにサポートさせるつもりだったが……」
「私の出る幕なんてありませんでしたよ」
甘い笑顔のイザークに顔を赤くしつつも首を傾げていると、オーガストが口を開いた。
どうやら、このテーブルマナーのことを言いたいらしい。
「君はそのマナーをどこで身に付けたんだい?」
「オーガスト……」
オーガストの言葉に、イザークが表情を変えて睨みつける。
孤児院出身であるエレノアを気遣ってくれているのがわかった。
エレノアはそんなイザークに大丈夫だと言う意味で笑みを向けると、オーガストに向き直った。
「シスターです。孤児院のシスターに教わりました」