教会を追放された元聖女の私、果実飴を作っていたのに、なぜかイケメン騎士様が溺愛してきます!
 それから、騎士は果実飴を販売する日には必ず顔を見せた。

 常連と成り果てた騎士が通い続けて二週間。

 事態が動いたのは、休みの日だった。

「エレノア、配達お願い出来る?」

 果実店の二階の部屋を間借りしているエレノアは、休みのため、布団の上でゴロゴロとしていた。

 週4日の果実飴の販売は、女将が果実の仕入れをし、飴の仕込みは二人で、エレノアが仕上げをする。そして、売り子はエレノア。お昼頃から販売を開始して、夕方にはいつも完売する。

 同時に果実店の方も営業していて、女将がお店を見ている。

 残りの三日は基本休みだが、果実の注文が入れば、それに対応している。

 果実飴のおかげでお店は繁盛して、お休みもきっちり取れている。

(やっぱり、仕事を頑張るためにはしっかりと休息を取らないとね)

 教会を追い出されて、果実店で働かせてもらうようになったエレノアは、果実飴が軌道に乗り、まさに働き方改革に成功したのだ。

「はい! 任せてください!」

 休みの日に入る果実の注文も多いわけではないので、いつもは女将が対応している。

 たまに大量注文が入るときはエレノアも手伝いをするが、単独で配達をお願いされるのは珍しい。

(まあ、一件くらい)

 エレノアは元気よく女将に返事をすると、彼女は頬に手を当てて、少し困ったように言った。

「最近よく注文してくれる方なんだけどね、今日になって、エレノアに配達して欲しいってご指名なんだよ」
「ご指名?」

 女将の言葉に、エレノアはぎょっとした。

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