教会を追放された元聖女の私、果実飴を作っていたのに、なぜかイケメン騎士様が溺愛してきます!
あの日の夕食は豪華で賑やかだった。ジョージもエマも「よくやった!」とイザークを満面の笑みで褒め称えていた。
居心地悪そうなイザークを他所に、何故こんなに二人が喜んでいるのかわからないが、二人ともイザークの気持ちはとっくに知っていて、自分だけ気付いてなかったのだと、エレノアは恥ずかしくなった。
(ザーク様の想い人がこんな孤児でも喜んでくれて、優しくしてくれて……本当にここの人たちは温かいなあ)
あの日の温かい夕食を思い出してエレノアがじんわりしていると、エマが心配そうに覗き込む。
「エレノア様? 大丈夫ですか?」
「あ、ごめんね。エマとこうしてるのが楽しくて。私、エマのこと大好き。ありがとう」
「……私もエレノア様が大好きですわ」
温かい気持ちが涙に変わりそうになるのをぐっと堪えて、エレノアはエマに微笑んだ。エマも嬉しそうに優しく笑い返す。
「でも、」
「でも?」
エマが急に真剣な顔で、でも、と返すので、エレノアは不安になる。
「そういう言葉は、真っ先にイザーク様に言って欲しいですわね?」
「へっ……」
真剣な顔をするから、てっきり何か自分に対する不満や苦情を言われるのかと思えば、予想外の言葉だった。
「イザーク様のこと、お好きなんでしょう?」
「私、は……」
エマのストレートな質問に、エレノアは言い淀む。
「エレノア様はご自身の幸せを素直に掴めば良いんですよ?」
眉尻を下げて、少し困ったような笑顔の表情のエマに、エレノアはまた熱いものが込み上げてきそうになる。
(私は、ザーク様のこと、嫌いではない。でもこの気持ちは、恋、なのかな? ザーク様の気持ちに甘えてるだけじゃないのかな? それに……)
「私、孤児だし……」
ザーク様には相応しくない、そう言葉を続けようとして、エマに遮られる。
「そんなこと、関係無いです!!」
エマの力一杯の言葉に、エレノアは思わず目を瞬いた。
「まったく。あなたは人をそんな目で見ないのに、ご自身だけは違うんですね」
呆れた声色だが、エマの表情は優しい。
「エレノア様は、イザーク様と離れたいんですか?」
エマの言葉にエレノアはふるふると首を振る。
「だったら、エレノア様は自分の気持ちを一番になさるのが良いと思いますよ」
「自分の?」
「はい。今まで、他人を優先してきたのでしょう?」
「……とっくにしてるよ? だって、私は教会には戻りたくない、って気持ちでザーク様と結婚したんだから……」
そう考えると、けっこう自分の都合に良いようにさせてもらっていると、エレノアは改めて思った。
「教会のことは、もう、この際置いといてください! あれは論外です!!」
エレノアが思考を巡らせていると、エマがくわっと目を見開いてエレノアの肩を掴んだ。
「イザーク様への気持ちを、ゆっくり考えてみてください。わかれば、イザーク様の胸に飛び込めば良いだけの、シンプルなことだって、わかるはずです」
「わ、わかった……」
エマの迫力に押されてエレノアがそう言えば、彼女は満足そうな表情をして、エレノアを解放した。
(私はザーク様のことを……)
自分の気持ちがわからないエレノアだったが、この会いたい気持ちを考えれば、答えは出ていそうなものだが、それをまだ認められずにいた。
結局、エマと作ったクッキーは、苺と桃とハートの3種類の形になった。
居心地悪そうなイザークを他所に、何故こんなに二人が喜んでいるのかわからないが、二人ともイザークの気持ちはとっくに知っていて、自分だけ気付いてなかったのだと、エレノアは恥ずかしくなった。
(ザーク様の想い人がこんな孤児でも喜んでくれて、優しくしてくれて……本当にここの人たちは温かいなあ)
あの日の温かい夕食を思い出してエレノアがじんわりしていると、エマが心配そうに覗き込む。
「エレノア様? 大丈夫ですか?」
「あ、ごめんね。エマとこうしてるのが楽しくて。私、エマのこと大好き。ありがとう」
「……私もエレノア様が大好きですわ」
温かい気持ちが涙に変わりそうになるのをぐっと堪えて、エレノアはエマに微笑んだ。エマも嬉しそうに優しく笑い返す。
「でも、」
「でも?」
エマが急に真剣な顔で、でも、と返すので、エレノアは不安になる。
「そういう言葉は、真っ先にイザーク様に言って欲しいですわね?」
「へっ……」
真剣な顔をするから、てっきり何か自分に対する不満や苦情を言われるのかと思えば、予想外の言葉だった。
「イザーク様のこと、お好きなんでしょう?」
「私、は……」
エマのストレートな質問に、エレノアは言い淀む。
「エレノア様はご自身の幸せを素直に掴めば良いんですよ?」
眉尻を下げて、少し困ったような笑顔の表情のエマに、エレノアはまた熱いものが込み上げてきそうになる。
(私は、ザーク様のこと、嫌いではない。でもこの気持ちは、恋、なのかな? ザーク様の気持ちに甘えてるだけじゃないのかな? それに……)
「私、孤児だし……」
ザーク様には相応しくない、そう言葉を続けようとして、エマに遮られる。
「そんなこと、関係無いです!!」
エマの力一杯の言葉に、エレノアは思わず目を瞬いた。
「まったく。あなたは人をそんな目で見ないのに、ご自身だけは違うんですね」
呆れた声色だが、エマの表情は優しい。
「エレノア様は、イザーク様と離れたいんですか?」
エマの言葉にエレノアはふるふると首を振る。
「だったら、エレノア様は自分の気持ちを一番になさるのが良いと思いますよ」
「自分の?」
「はい。今まで、他人を優先してきたのでしょう?」
「……とっくにしてるよ? だって、私は教会には戻りたくない、って気持ちでザーク様と結婚したんだから……」
そう考えると、けっこう自分の都合に良いようにさせてもらっていると、エレノアは改めて思った。
「教会のことは、もう、この際置いといてください! あれは論外です!!」
エレノアが思考を巡らせていると、エマがくわっと目を見開いてエレノアの肩を掴んだ。
「イザーク様への気持ちを、ゆっくり考えてみてください。わかれば、イザーク様の胸に飛び込めば良いだけの、シンプルなことだって、わかるはずです」
「わ、わかった……」
エマの迫力に押されてエレノアがそう言えば、彼女は満足そうな表情をして、エレノアを解放した。
(私はザーク様のことを……)
自分の気持ちがわからないエレノアだったが、この会いたい気持ちを考えれば、答えは出ていそうなものだが、それをまだ認められずにいた。
結局、エマと作ったクッキーは、苺と桃とハートの3種類の形になった。