僕と一緒に、楽園へ行こう。

 季節は真夏。
八月三日の、早朝。

 バイトが始まる時間まではまだ早すぎるくらいの時間に家を出たのは、一人の女子大生。

 高校生の頃からずっと働いているバイト先のコンビニは、家から駅に行き電車に乗って二駅のところにある。
そこに向かって足早に進む。

 彼女は、たまに何かを察したように後ろを振り返る。しかし特に誰もいない。
それでもどこかから、得体の知れない視線を感じる。何も知らない人は自意識過剰だとか、気のせいだとか言うけれど。

 これは気のせいなんかじゃない。だって、もう半年以上コレに悩まされているのだから。


「……っ!」


 また、だ。
急にゾワリと背筋が凍りそうになるほどの悪寒がして、逃げるように駅に向けて急いだ。

 しかし、それは確実に近付いてきていた。





「───あれ、奇遇ですね?」


 爽やかなその声に、心臓が止まったかのように身体が硬直した。


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