恋した殿下、あなたに捨てられることにします〜魔力を失ったのに、なかなか婚約解消にいきません〜
最終話

最終話

 舞踏会から数日。
 また訪れようとしていた週末の前日に、アンドレアはエステルのベルンディ公爵邸を訪ねてきた。

 王都の通りは、王太子の専用馬車と護衛部隊の進行に注目が集まった。

 家族は合舞踏会の翌日に出掛けて以来、アンドレアに対して何も言わなくなっていた。
 安心したような雰囲気は伝わってきた。王宮に呼び出された際に、国王も交えて話しをしたのだろうとは、エステルも推測していた。

 だから、緊張と共に、結婚を明確にしたアンドレアと再会できる日を、待ち遠しくそわそわと待ってもいたのだ。

「殿下、こちらへ」

 兄がわざわざ案内を買って出て、一階で、今の時間一番日当たりのいいサロンへと導いた。

 その間、エステルとアンドレアにエスコートされていた。

 緊張はあったが、どきどきと鳴っている胸はそのせいだけではないだろう。

 エステル達が移動したのは、庭へと出られる大きな窓が並んだ奥のテーブル席だった。

「さ、二人は、ここに」
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