私は誰にも恋しない
起こしたら悪いと思い、私は静かに自分の荷物を持ち帰ろうとした。

その時、先生が机に顔を伏せたまま言う。

「…帰るのか?」

「はい、もう片付け終わったので」

「…残念。これからもっといいことしようと思ったのに」

先生はそう言って伏せていた顔をあげて私をみる。その顔は意地悪な笑みだった。

(またからかってる)

先生が意地悪な笑みを浮かべる時はからかってる時だけだ。
何が面白いのやら。

そんな先生に私は一礼して冷静に言う。
「失礼します」
< 19 / 79 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop