溶けたラムネ入りの炭酸ジュースは、美味しくない。

パイプ椅子を3つ近づけて、酔った彼女を横にした。

「ラムネって、食べれますか?ラムネが、お酒の分解に良いって聞いたことあるんで、良かったらどうぞ」

とりあえず、なにかないかと思って、うっすらとお酒の対処法で聞いたことある“ラムネを食べるとお酒を分解してくれる”みたいなのを思い出して、渡した。

「いくら、ですか…お金…」

彼女はそう聞いてきた。

「あー、これぐらいなら、全然いいですよ」

というか、他にできることがわからないし、そのままほっとくと、その辺りで吐かれても困るし。

仕事する時間が減りそうで、早く帰ってほしかった。
なんて言えないしなぁ。

そのあと、最低限の仕事が終わって、スマホのインターネットを使って、お酒飲みすぎた時に有効なものを調べてみることにした。

調べてみると、ラムネの効果について出てきて、驚いたことが書いてあった。

「え…」

僕は、驚いて口に出していた。

ラムネを渡してから調べたが、全く知らなかったんだ、本当に。



ラムネって、二日酔いの頭痛とかに効くだけらしくて、よく言うお酒の分解をする力は、あまり無いらしい。

わりと有名なはずだけど、…今じゃないことが、すぐにわかった。


「あ、えーと、寝てますか。そのラムネ…。
調べたんですけど、今食べても、分解する効果は無いらしいです」



「なんで、そんなぁ、…うぅ…」

パイプ椅子の上で、天井の方を向いて、仰向けに寝ていた彼女は、横を向こうとして、ガタンッという、椅子がぶつかる音と一緒に、床に落ちた。

その一瞬で、僕は、助けられるわけもなく

「イ…痛い…ッ…」

彼女が、ただ痛がってるのを、見守るしか無かった。

セクハラで訴えられるんじゃないかと思って、触れていいかもわからず、ただ見守った。

「だ、大丈夫ですか」

また、この言葉を僕は口にした。

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