ドロ甘な愛を稀血に溶かして
嫌なんだよね?
私が環くんの人生を、縛り付けていることが。
環くんを解放したら、許してくれる?
幼稚園の時みたいに、微笑みかけてくれる?
「美織ちゃん、一緒に遊ぼう」って。
大好きな人に嫌われている、悲しい現状。
なんとか変えたい。
自分の力で解決しなきゃ!
私は立ったまま、体中の勇気をハートにかき集めてみた。
睨まれるのが怖いなんて、ビビってはいられない。
一歩踏み出そう。
環くんと私の関係が、少しでも良好になるように。
「よし」と手を握りしめ、私は環くんの前に回り込む。
カバンに手をつっこみ封筒を取り出すと、環くんに差し出した。
「……えっ?」
目も口も大きく開いた驚き顔で、イヤホンを耳から抜いた環くん。
「……なんで……泣いてるの?」
彼の心配声が私の耳に届き、初めて自分の瞳から大粒の涙があふれていることに気づく。