ドロ甘な愛を稀血に溶かして


それにね……

私たちの婚約を勝手に決めたのは、お互いのおじいちゃん達なんだよ。

親友の孫同士を結婚させたいなんて、自分勝手すぎだよね。



すでに二人は他界している。

祖父たちの夢を叶える優しい孫を演じる必要なんて、もうない。



それにそれに、私は知っているんだよ。

環くんには、お気に入りの子がいるんだってね。



噂で聞いたんだ。

図書委員として一緒に活動している、守ってあげたくなるくらいカワイイ後輩ちゃんのこと。



私との婚約が解消された今、告白でもすればいいよ。

邪魔なんかしないから。

大好きな人の幸せを壊す悪魔には、絶対になりたくない。



「……本気で解消したいの? ……俺との婚約」


「恋愛は、好きな人としたいでしょ?」

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