ドロ甘な愛を稀血に溶かして
机に頬杖をつきながら伏せた目を上げ、大好きな子の背中に再び焦点を合わせてみる。
教室の中央、ちょこんとイスに座っている美織ちゃん。
グルっと一周、10人くらいの男女に囲まれていて
『修学旅行もうすぐだね~ 楽しみだなぁ~』
左側に立つ女子に捧げた笑顔は、見事なまでの100点満点。
無垢なエンジェルスマイルの大盤振る舞いは、男子の頬をピンクに染める効果抜群で……
男女関係なくモテすぎなんだよ。
相手の心をパッと明るくするその笑顔、俺だけに見せてくれればいいのに。
なーんて、思ってみたりもして。
そんな言葉を浴びせたら、美織ちゃんは眉をひそめるだろうな。
どの口が言ってるの?って。
だってだって
今までガン無視を貫いてきたのは、俺の方なんだから。
でも本当はね、理由があるんだよ。
俺がそっけない態度をとるのは、美織ちゃんを守るためなんだよ。