ドロ甘な愛を稀血に溶かして
家が隣同士で高2の私たち。
『野いちご学園高等部』に通っています。
自転車を漕いで行くには、ちょっと距離がありすぎ。
だからお互いバス通学。
同じ時間のバスに乗るから、毎朝、バス停で二人きりになるんだけど……
「環くん、おはよう」
「……」
さわやか笑顔を光らせてみたけれど、今日もかぁ。
眠そうな顔でスマホを見つめる環くんは、一切顔を上げない。
スマホ画面を指の腹でスライドさせながら、私を無視。
挨拶の返事すらない。
私は透明人間じゃないのになぁ……
悲しみのため息が漏れる。
スマホを取り出し、何事もなかったように環くんの後ろに並んだ。
私を拒絶する大好きな人の背中が瞳に映り、心臓が炎で焼かれているみたいに痛んでしまう。
どうして、嫌われちゃったんだろう?
小4までは、環くんは私に心を許してくれていたのに……
子供の頃の環くんは、笑顔満開・元気いっぱい。
無垢で無邪気でキュートな、天使系王子様だった。