ドロ甘な愛を稀血に溶かして
何日もかけて、俺は必死に考えた。
いろんな欲求と葛藤にさいなまれながら出した結論が、これ。
『大事な人を襲わないように、俺は美織ちゃんと距離を置く』
一番大事なのは、美織ちゃんの命。
自分が傷つくぐらい、どうってことないから。
意識を取り戻した美織ちゃんは、車にはねられたところまでは覚えていた。
でも俺が吸血鬼化して襲ったことは、全く覚えていないよう。
意識がない時の出来事だったから、当然と言えば当然だ。
俺が吸血鬼だということも、美織ちゃんが吸血鬼に狙われる稀血の持ち主ということも伏せ、真実を告げないまま俺から一方的に美織ちゃんを無視。
彼女の笑顔に俺がときめかないように、「二度と話しかけないで」って睨みながら拒絶までして。