ドロ甘な愛を稀血に溶かして
唯一無二のシャープペン
美織side
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☆美織side☆
修学旅行の朝になりました。
バスを降り、カラカラとコロ付きキャリーバックをひきながら、野いちご学園の園庭に着いた私。
天に伸びる立派なイチョウの木を見上げながら、ため息が止まらない。
はぁぁぁぁ~
大丈夫かなぁ?
新幹線に乗る駅まで連れてってくれるバスの席、私の隣が環くんなんだよ。
陽花里ちゃんと隣同士のはずだったのに
『環くんと婚約してるって、なんで教えてくれなかったの? 言ってよ~』
親友の恋を応援したいと言わんばかりの笑顔で、陽花里ちゃんが席を代わってくれて
『私……環くんに嫌われてて……』
『大丈夫、大丈夫。うちらに任せてね』
クラスの女子達が私の恋を成就させようと、何か策を練ってくれているみたいで
――お願い、放っておいて。
――環くんは、同じ図書委員の後輩の子が好きなの。
――恋の邪魔をして、これ以上、環くんに嫌われたくない。
なんてことをクラスメイトに言えないまま、修学旅行当日を迎えてしまいました。