ドロ甘な愛を稀血に溶かして
それにしても、園庭に生徒が誰もいない。
環くんと同じバスに乗るのは気まずくて、早めのバスに乗ってはきたけれど。
誰か一人くらい生徒がいても、おかしくない時間だと思うんだけどな。
制服のスカートのヒダを直しながら、辺りを見回す。
タタタタタとこっちに駆けてくる子を見つけ、ほっと一安心。
したけれど……
「美織せんぱ~い」
先輩?
ゆるふわツインテールを揺らしながら走ってくるあの子は、誰?
わからなくて、目を細めながら一生懸命ジー。
「美織先輩、探しちゃいましたよ。こんなところにいたんですね」
えっと……あなたは……
「シャープペン、環先輩に返しておいてもらえませんか?」
「えっ? 環くんに?」