ドロ甘な愛を稀血に溶かして


この子が持ってる紫色のシャーペン、前に私が環くんにあげたものだ。

環くんが使っているのを見たことは、一度もないけど。



「環先輩ってホワワンとしてて、気まぐれ猫みたいでカワイイですよね』


『……そっ、そうだね』


『昨日の夜、シャーペンを持って帰るのを忘れちゃったみたいなんです。私の部屋に落ちてるのを、今朝見つけて。早く届けなくちゃって思って」



ということは……


環くんが、この子の部屋に行ったってこと?



「えっと……あなたは……?」


「聞いてませんか? もう環先輩ったら。恥ずかしがって、なんでもかんでもみんなに秘密にして。私、環先輩と一緒に図書委員してます、1年のレイラです」


レイラ……ちゃん?

もしやあなたがウワサで聞いていた、環くんお気に入りの後輩ちゃん?


巻き髪ツインテールに、くっきり二重。

顔面の全パーツが整っている美少女だ。


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