ドロ甘な愛を稀血に溶かして
修学旅行が終わったら、図書室に探しに行ってみよう。
あのシャーペンは、前に美織ちゃんがプレゼントしてくれたもの。
『環くんの髪と同じ色だったから、お揃いで買っちゃった』
天使級の笑顔で、差し出されたんだけど……
自分が美織ちゃんの笑顔で吸血鬼化しないように、徹底的に美織ちゃんを拒絶してたこともあって、喜びを1ミリも表現できなくて。
でも絶対にお揃いのシャーペンは欲しいから、無表情のまま受け取ったんだっけ。
あの時の俺、嫌味っぽかっただろうなぁ。
さらに嫌われちゃっただろうなぁ。
高校に美織ちゃんとお揃いのものを、持っていきたい。
誰にもバレないように、毎日もう一つの筆箱に忍ばせていたんだけど。
よりにもよって、唯一無二の大事なシャーペンをなくしてしまうとは。