ドロ甘な愛を稀血に溶かして
これで女子達も、俺に構わなくなるはず。
心が軽くなり、勝ち誇った笑みを浮かべた俺だったけれど。
すぐに俺の表情筋がカチコチに凍りついてしまった。
だって。
……えっ?
……いつの間にいたの?
通路に立つ女子達の後ろに、美織ちゃんが立っていたから。
今にも泣きそうな顔で。
こぶしを握り、唇をぎゅっとかみしめながら。
「全員揃ったみたいだから、もうすぐ出発だぞ。トイレ行きたい人は、今のうちだぞ」
名簿を頭の上に掲げながら、バスに乗り込んできた先生。
「うちらも席につかないとね」と、女子達が自分の席に散っていく。