ドロ甘な愛を稀血に溶かして
「美織、後ろの席おいで。一席余ってるから」
肩をポンと叩いた陽花里さんに
「ありがとう。環くんと話したら行く」
美織ちゃんは、苦しそうな顔で微笑んでいる。
美織ちゃんは俺の隣に座ると、オロオロと何かを差し出してきた。
「……これ、環くんのでしょ?」
あれ?
俺が落としたシャーペンを、なんで美織ちゃんが持ってるの?
とりあえず、笑顔でお礼を伝えよう。
女子を追い払うためとはいえ、酷い言葉を美織ちゃんに浴びせちゃったわけだし。
「ありがとう、昨日落としちゃったみたい。図書室にあった?」
「渡してって、レイラちゃんに頼まれたんだ」
「それって、図書委員の?」