ドロ甘な愛を稀血に溶かして
美織ちゃんの言っている意味が分からず、終始ポカン状態だった俺。
変な勘違いをされていると気づいたのは、美織ちゃんが後ろの席に移動した後だった。
「清住、来るの遅すぎ」
「修学旅行、休むかと思ったよ」
「集合場所が園庭だと思い込んでて、一人で待ってたんだ。私、恥ずかしすぎだよね~」
「ちゃんとパンフ、確認しとけ」
「アハハ~ 気を付けるね~」
男子にいじられている美織ちゃんの、笑い声。
聞きたくなくて、俺は耳にイヤホンを突っ込む。
このクラスの中にいるのかな?
美織ちゃんの好きな人。
壊れそうなくらい心臓が痛みだし、堪えきれなくなった俺。
ミュージックプレーヤーの音量を上げ
アイマスクで視界を塞ぎ
折れそうなほど強い力で、大事なシャープペンを握りしめたのでした。