ドロ甘な愛を稀血に溶かして
終始、無表情で。
目すら合わせてくれなくて。
自分のテリトリーから、私を追い出そうとしていた環くん。
彼を見て、私はまだ夢の中にいるんじゃないかと思った。
それか私はすでに死んでいて、環くんが私を大嫌いという異世界に、転生したのかとさえ思ってしまった。
実際に、転生しちゃったのかもね。
変わったのは環くんだけじゃない。
私のお父さんもお母さんもおじいちゃんも、事故のあとなぜか過保護になって。
隣に住む環くんの家族も、環くんの双子のお姉ちゃんたちでさえ、必要以上に私を甘やかすようになった。
そんな中、環くんだけが私を拒絶。
その不気味さを誰にも打ち明けられないまま、私は高2になって。
今でも、モヤモヤと悲しみを心の奥に押し込んでいる。
遊園地の入場ゲート横のベンチに、座っている私。
このまま閉園時間まで座りっぱなしなのも、スタッフさんに変な目で見られちゃいそう。
人の目が気になるし、人気のない場所に移動しようかな。