ドロ甘な愛を稀血に溶かして
「遊園地に来てから、何かアトラクションに乗りました?」
「あっ、お化け屋敷の中かも」
「バンパイヤの館で?」
「吸血鬼に追いかけられた時に、チャリンって音がした気がしたんだ。でも暗かったし。吸血鬼が怖すぎだし。逃げることに必死で、そのままスルーしちゃって」
「きっとお化け屋敷ですよ。今から行きましょう」
「恩に着るよ、美織ちゃん」
「えっ?」
「ん?」
「あの……私……自分の名前って言いました?」
「えっ? ……あっ、うん。覚えてない? 俺が話しかけた時に、教えてくれたよ」
全く覚えてないけれど、そうだったんだ。
環くんのことで悲しんでいたから、ボケボケのまま名前を口にしたんだろうな。
「可愛い名前だよね。み~おりん」
みみみ……みおりん?