ハプニングは恋のはじまり


「よかった!俺行ってみたいとこあんだ!」


 無邪気に笑う姿に胸がキュンとする。
「こっちだ」とさりげなく手を繋がれた。あまりに自然すぎて聞き返す暇もなかった。

 ゴツゴツとした大きな手から伝わる温もりにドキドキしてしまう。
 こんなに緊張しているのは自分だけなのだろうか。もしかしたら明緋は慣れていて、なんでもないことなのかもしれない。

 そう思うと、何だか心の中に穴が空いたような感覚になる。


「これこれ!琉球ガラス!作ってみたくね?」


 連れられた場所は琉球ガラス作り体験だった。


「意外ですのね」

「そうか?ものづくりに惹かれるのは男の性だと思うけど」

「そういうものでしょうか」

「とにかく入ろうぜ」


 中に入ると色とりどりのガラスが飾られ、華やかで綺麗だった。グラスや皿の他にアクセサリーもたくさんある。
 体験ではグラスが作れるようだ。二人は底が丸くてかわいいタルグラスを作ることにした。


「色、どれにすっかな」
「悩みますわね」
「せーの、で言おうぜ」
「え?わかりました」
「せーの」
「「オレンジ!」」


 まさかの二人の息がピッタリ合った。


「あ、ではわたくしは別の色にします」
「なんでだよ。おそろいで良くね?」
「え……」


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