ハプニングは恋のはじまり
そんな中で、明緋は初めて自分のことを「普通の女の子」として扱ってくれているような気がした。
見た目はイカつくてチャラそうで、少し強引なところもあるが決して嫌ではない。
むしろこの距離感が心地良い。
見ず知らずの自分のために時間を割いてくれて、一緒に楽しもうとしてくれる。
少年のような屈託のない笑顔が癒される。
その一方で、彼の何気ない言動にドキドキさせられる。
でも、自分以外の女の子にも同じようなことをしていると思うと――やるせない。
「(嫌ですわ……これでは那桜さんのこと言えませんわね)」
「八重!」
グイッと肩を掴まれた。振り向くと、明緋の少し焦ったような表情が至近距離にあった。
「ごめん、俺何かしたか?」
「え……」
「なんか八重を嫌がらせるようなこと、した?」
「……いえ、そういうわけではありませんが」
「わりぃ。なんかしちまったんなら言ってくれよ。男子校で男同士でバカばっかやってるから、女子の気持ちとかわからねぇんだよ」
そう言って明緋は困ったように頬をかく。
「明緋さんは、女の子の扱いに慣れていらっしゃるのかと思いました」
「えっそう見えんの!?俺女子には第一印象で逃げられるんだけど」