ハプニングは恋のはじまり
途端に八重の頬がみるみる朱に染まる。
「そ、そんな……まだ出会ったばかりですわっ!」
「出会ったばかりとか関係あります?気づいた時に落ちているものだと思いますが」
「……それは実体験ですの?」
「さあ、どうでしょう。とにかく八重を誑かすような男なら排除しなければならないのですが。
あなたの父親にキツく言われているので」
本当に父の過保護っぷりには呆れるばかりだ。那桜まで巻き込んで申し訳ない。
「……大丈夫です。ああ見えてとても純粋な良い方ですから」
「ふーん?まあさっきのことは見なかったことにします」
その言葉にホッと胸を撫で下ろす。
「その代わり、鏡花に早く無事な姿を見せてあげてください。鍾乳洞の中でもずっと八重のこと心配してうるさかったので」
「……!はい、本当に申し訳ありませんでした」
みんなの元に戻ると、すぐに鏡花が駆け寄って八重に抱きついた。「心配したんだからぁ」と半泣きする鏡花を抱きしめ返し、「ごめんなさい」と謝る。
八重は自分の行いを反省した。SPたちにも謝罪し、もう二度と勝手な行動はしないと約束した。
明緋との時間は楽しかったけれど、親友たちに心配と迷惑をかけたことは許されることではない。