ハプニングは恋のはじまり
普通になれたらよかったのに、とどうしても感じてしまう。お姫様なんかじゃなくていい、普通の女の子になれたなら。
こんなに息苦しい思いをせずに済んだのだろうか。
「明日はさ、一日琉球パークに行くんだよね!」
急に鏡花が話題を変えた。
琉球パークは、沖縄の文化や歴史などをコンセプトにしたテーマパークだ。2日目は一日班行動となっており、八重たちの班は琉球パークで丸一日遊ぶことになっている。
「鍾乳洞とかどんな感じなんだろね!宝物とかあるのかな!」
「洞窟に宝物という幼稚な発想、流石はお嬢です」
「その減らず口、今すぐきけなくしてあげようか??」
「お嬢が暴れたらあのSPたちの仕事を増やすことになりますよ」
「増やしてやんよ!!」
「うふふっ」
八重は思わず笑ってしまった。
時折二人のやり取りは癒してくれる。
「本当に、わたくしの護衛どころではなくなってしまいますわね」
恐らく二人とも何となく八重の居心地の悪さを察してくれているのだろう。
鏡花なんて普段は鈍感なのに、こういうところは意外にも鋭い。察して和ませてくれるから、安心する。
「ありがとうございます。明日も一緒に楽しみましょう」
幼馴染とは、本当に居心地の良いものだ。