ハプニングは恋のはじまり


* * *


 2日目。午前中から琉球パークに訪れた。
 まずは鍾乳洞探検ツアーに参加することになっている。しかし、チケットを買おうとしたらSPに止められた。


「八重お嬢様は外でお待ち下さい」

「何故ですの?」

「旦那様から止められています。こういった危ない場所には入らせないようにと」

「危ない場所なんかじゃありませんわ。きちんと整備された安全な場所です」

「急な落石があるかもしれません。お待ち下さい」


 父の過保護には呆れたものだ。こんなに定番の観光地でさえ、危険な場所扱いとは。


「大丈夫ですよ!八重一人で待たせるなんて可哀想だし、一緒に行かせてください」

「八重姫を危険な目には遭わせません」


 鏡花と那桜も援護してくれたが、「旦那様の言いつけだから」と断固として首を縦に振らなかった。
 仕方なく八重だけ鍾乳洞の外で待つことになる。


「大丈夫ですわ。わたくしに気にせず行ってらっしゃいませ」

「八重、本当に大丈夫?」

「ええ、終わったら写真を見せてくださいね」


 笑顔で手を振り、鏡花たちを見送った。
 遠慮がちに気にしている鏡花の後ろ姿が見えなくなるまで見送ってから、八重は沈むような溜息を吐く。


「……お手洗いに行ってもよろしいでしょうか」


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