初恋のつづき
「……私の記憶の中の名桐と全然結びつかないんだけど、私が転校したあと、もしや名桐は不良路線から爽やか路線に変更したの?」
「ううん、高校三年間不良路線のままだったよ」
「………」
「私もあまりに一致しなくて最初、スルーしようとしたよね」
「……ヤツに一体何があった……」
「……いや、それはただ単に、あの頃の姿が若気の至りだったってだけなんじゃない……?」
「見たいわー、ビフォーアフター。よしっ、今度飲み会しよっ、飲み会!連絡先とか交換してないの?」
「あ、LIN〇のIDを書いてくれた名刺はもらったよ」
さっきまで弄っていたスマホの、グレージュのPUレザーケースの背面についているカード入れに大事にしまっていた名桐くんの名刺を取り出せば、りかちゃんの表情が急に輝き出した。
「おっ!でかした!もう送った?」
「ううん。まだ」
「よし、じゃ、今送ろ!」
「今⁉︎」
「そ。善は急げよ!はい、スマホ!」
言いながら、りかちゃんが私に向かってズイッと手のひらを突き出す。
……でも、こういうのは勢いが大事かもしれない。
あの名桐くんにLIN◯なんて何となく恐れ多過ぎて、今送らなければいつまでも送れない気がする。
よし!と思ってその手にスマホを渡せば、素早くLIN〇を立ち上げたりかちゃんは、慣れた手つきでID検索を始めた。