初恋のつづき
「……あった!これだね、〝NAGIRI〟。友だち追加するよ?」

「う、うん」


答えながら彼女の手元を覗き込むと、名桐くんのアイコンになっているその写真には見覚えがあった。


ーー高校の時に名桐くんが愛用していた、シンプルなブラックのワイヤレスイヤフォンだ。多分。


……何だかとても懐かしい。

昔からずっとこのアイコンなのかな。

あの頃は連絡先の交換なんてしたことなかったから、分からないな。


「よしっ。これで繋がった!はい千笑。送ってみて」

「……うん」


スマホを返してもらい、まだ何の履歴もないそのトークルームを見つめながら私は文面を考える。



【spRING広報宣伝部有賀(遠野)千笑です。
先ほどはありがとうございました。
これからどうぞよろしくお願い致します。】



うーん、と熟考して最終的に送った絵文字も何もないそのメッセージは、りかちゃんに「いや、業務連絡か!」と真顔で突っ込まれてしまったけれど。




ーーとにもかくにも、こうして私と名桐くんは、十年ぶりに繋がったのだった。


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