初恋のつづき
「……しっ、渋谷さん⁉︎と名桐さん!」
振り返ってみればそこには何と、TYMのお二人が並んで立っていた。
「ちょっと早く着いてしまったもので、あちらを拝見しながら時間を調整させて頂いてたんです」
聞かずとも私の疑問を察してくれたのだろう。エントランスの白を基調とした壁一面を使って自社商品たちがディスプレイされているエリアを指して、渋谷さんが相好を崩す。
「あ、あぁ、そうだったんですね……!」
「……ちなみに、今の仲睦まじいやり取りも拝見してしまいました、すみません!でも、何だか愛を感じちゃいましたねぇ……」
「い、いやー、はは……。こちらこそすみません、お恥ずかしいところを……」
……二人がいらっしゃるにはまだ早い時間だと思っていたから、完全に油断していた。
エントランスがいつもよりも騒がしく感じられたのは、ひょっとしてこの二人が来社していたからか……?
でも、まさか身内に忘れ物を届けてもらっているところを見られてしまったなんて、恥ずかし過ぎる。しかも、それがこのあと使う資料だなんて……。
依然としてにこにこしている渋谷さんに対し、私はもう気まず過ぎてひたすら苦笑いするしかなかったのだけど。
「ーーしっかりしているように見えてうっかりなところは変わらないんですね、《《有賀さん》》」
それまで黙って私を見つめていた名桐くんが、綺麗な微笑を浮かべて急にさっきの亮ちゃんみたいなことを言うから。
「え……っ、私あの頃名桐くんにうっかりなところ、見せたことあった⁉︎」
つい反射的にそう返してしまってからハッとした。
「……んん?有賀さんは、ひょっとしてうちの名桐とお知り合いですか?」
案の定、渋谷さんの不思議そうな視線が私と名桐くんの間を行ったり来たりしている。
「……あ、実は名桐くんとは高校の同級生でして……、ね?」
「……ああ」
チラリと同意を求めれば名桐くんが頷いてくれたけれど。
あまりにも整い過ぎていて触れたらひんやりとしそうなその艶麗な笑みが、彼の纏う温度を一、二度下げているような気がして、私は内心で首を傾げた。
何だろう。笑っているのに笑ってない、みたいな……。
振り返ってみればそこには何と、TYMのお二人が並んで立っていた。
「ちょっと早く着いてしまったもので、あちらを拝見しながら時間を調整させて頂いてたんです」
聞かずとも私の疑問を察してくれたのだろう。エントランスの白を基調とした壁一面を使って自社商品たちがディスプレイされているエリアを指して、渋谷さんが相好を崩す。
「あ、あぁ、そうだったんですね……!」
「……ちなみに、今の仲睦まじいやり取りも拝見してしまいました、すみません!でも、何だか愛を感じちゃいましたねぇ……」
「い、いやー、はは……。こちらこそすみません、お恥ずかしいところを……」
……二人がいらっしゃるにはまだ早い時間だと思っていたから、完全に油断していた。
エントランスがいつもよりも騒がしく感じられたのは、ひょっとしてこの二人が来社していたからか……?
でも、まさか身内に忘れ物を届けてもらっているところを見られてしまったなんて、恥ずかし過ぎる。しかも、それがこのあと使う資料だなんて……。
依然としてにこにこしている渋谷さんに対し、私はもう気まず過ぎてひたすら苦笑いするしかなかったのだけど。
「ーーしっかりしているように見えてうっかりなところは変わらないんですね、《《有賀さん》》」
それまで黙って私を見つめていた名桐くんが、綺麗な微笑を浮かべて急にさっきの亮ちゃんみたいなことを言うから。
「え……っ、私あの頃名桐くんにうっかりなところ、見せたことあった⁉︎」
つい反射的にそう返してしまってからハッとした。
「……んん?有賀さんは、ひょっとしてうちの名桐とお知り合いですか?」
案の定、渋谷さんの不思議そうな視線が私と名桐くんの間を行ったり来たりしている。
「……あ、実は名桐くんとは高校の同級生でして……、ね?」
「……ああ」
チラリと同意を求めれば名桐くんが頷いてくれたけれど。
あまりにも整い過ぎていて触れたらひんやりとしそうなその艶麗な笑みが、彼の纏う温度を一、二度下げているような気がして、私は内心で首を傾げた。
何だろう。笑っているのに笑ってない、みたいな……。