初恋のつづき
「……っ、あー……、もー、ほんとタチ悪い……。いいのか?他の男にそんな簡単に触らせて……」
「え?」
「……別に、いいならいい」
イマイチ意味を理解できなかった私に対して、襟足をくしゃりと乱しながらぶっきらぼうにそう呟いた名桐くんが一歩、私へ近づく。
耳がほんのり赤く見える気がするのは、多分月明かりと暖色系の街灯のせいだろう。
そしてその口調とは裏腹に、丁寧な仕草でそれをつけてくれる。
ーーまるで、あの時と同じ。
でも、ふわっと鼻先を掠めた香りはあの時の爽やかな香りではなくほのかに甘さを含んだアンバーウッドの香りだったし、その指先はひんやりとはしていなくてとても優しい温度をしていた。
彼が纏っているのは着崩した制服じゃなくて仕立ての良さそうなスーツだし、明るい琥珀色だった髪も、今は艶やかな黒髪だ。
ーー同じようでいて、全然同じじゃない。
「……ねぇ、〝ジュ・トゥ・ヴ〟って、どういう意味だったっけ……?教えてください」
だから忘れる訳のないそれを、私がスマホを操作していた彼に聞いたのは無意識だった。
でも多分、名桐くんならこう答えるんじゃないかと、それが何となく分かっていたから聞いてしまったんだと思う。
スマホのライトに淡く照らされながら、そこに向いていた彼の視線がゆっくりとこちらを向く。
「え?」
「……別に、いいならいい」
イマイチ意味を理解できなかった私に対して、襟足をくしゃりと乱しながらぶっきらぼうにそう呟いた名桐くんが一歩、私へ近づく。
耳がほんのり赤く見える気がするのは、多分月明かりと暖色系の街灯のせいだろう。
そしてその口調とは裏腹に、丁寧な仕草でそれをつけてくれる。
ーーまるで、あの時と同じ。
でも、ふわっと鼻先を掠めた香りはあの時の爽やかな香りではなくほのかに甘さを含んだアンバーウッドの香りだったし、その指先はひんやりとはしていなくてとても優しい温度をしていた。
彼が纏っているのは着崩した制服じゃなくて仕立ての良さそうなスーツだし、明るい琥珀色だった髪も、今は艶やかな黒髪だ。
ーー同じようでいて、全然同じじゃない。
「……ねぇ、〝ジュ・トゥ・ヴ〟って、どういう意味だったっけ……?教えてください」
だから忘れる訳のないそれを、私がスマホを操作していた彼に聞いたのは無意識だった。
でも多分、名桐くんならこう答えるんじゃないかと、それが何となく分かっていたから聞いてしまったんだと思う。
スマホのライトに淡く照らされながら、そこに向いていた彼の視線がゆっくりとこちらを向く。