その恋は甘くて危険【番外編追加済み】
輝悠先輩の顔が何かを覚悟しているように見えて、そこが気にかかった。
でも、今は触れず、歩き出した輝悠先輩についていく。
いつもだったら繋がっている手が繋がれていない。
何だか寂しくなって、私から輝悠先輩の手を絡めた。
途端にピクリと反応する輝悠先輩の手。
「未珠ちゃん……」
「手を繋ぎたくて……駄目、でした?」
「ううん、駄目じゃないよ」
ぎこちない笑顔だった。
そこからは会話することなく、無言で気まずい雰囲気が流れていた。
輝悠先輩の部屋に着くと、私を先に入れてくれる。
「ありがとうございます」
「どういたしまして」
カシャンと扉が閉まる音がした。
輝悠先輩の顔を見ると、いろいろな感情がごちゃ混ぜになったような複雑な顔をしていた。
「輝悠先輩……」
呼びかけると、輝悠先輩ははっとして我に返ったような顔になった。