その恋は甘くて危険【番外編追加済み】
反して、久我先輩は余裕そうな表情だった。
久我先輩の服にはところどころ返り血らしきものがついていたけど、本人は無傷。
圧倒的な強さだった。
ヤクザさん達が全く歯が立たないほど。
「お前達には牢に入ってもらうから。文句はないよね?」
「チッ……」
「けっ……」
舌打ちとかをしてたけど、抵抗する気はないようだった。
「嫌なものを見せてごめんね」
申し訳なさそうな顔をしてるけど、その顔に安心なんてできない。
今更ながら体が震えてくる。
怖いんだ、私……
「本当は関わらせたくなかったんだけどね」
苦々しい笑顔。
それが何か考える前に逃げ出したくなった。
「あの、今日はありがとうございました!さようなら」
だから、碌なお礼も言わず、立ち去ってしまった。
ごめんなさい、久我先輩……
私は整理する時間がほしいんです。
憧れていた人の裏の顔を知ってしまった今日だった……