王子様を落とし穴に落としたら婚約者になりました ~迷惑がられているみたいですが、私あきらめませんから!~
 医務室ではウォルターが昼食代わりのパンを食べていて、入って来たライオネルを見て首をひねる。

「どうしました、そんな情けない顔をして」

「……うるさい。情けない顔なんてしていない」

 ライオネルがむすっと言い換えしてソファに座ると、ウォルターが苦笑して、袋の中からパンを一つ取り出して目の前に置いてくれる。

「この時間ならどうせ食べていないんでしょう。一つ分けてあげますから、ほら、何があったのか話してください」

 ライオネルが子供のころから侍従を務めているウォルター相手にはごまかしはきかない。

 ライオネルはパンを一口かじって「モモンガは休みだそうだ」と言った。

 すると、ウォルターが声を出して笑う。

「はっはあ? つまり殿下はエイミー様が心配だと」

「違う!」

「じゃあなんです?」

 ライオネルはもそもそとパンを食べて少し時間稼ぎをした後で、渋々答える。

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