王子様を落とし穴に落としたら婚約者になりました ~迷惑がられているみたいですが、私あきらめませんから!~
「ケビンのやつが意味のわからんことを言っていた。エイミーはモモンガでなくて人間なのだと。それから先ほど、エイミーの友人からエイミーを解放しろと言われた。二人とも、何が言いたいのかわけがわからん」
「……そうですか」
ウォルターは笑うのをやめて、パンの袋を持ってライオネルの対面のソファに異動した。
「殿下。これは殿下が向き合わなければならない問題なので、私からは答えは差し上げられません。でもね、一つだけヒントを差し上げます。以前私は、殿下がエイミー様に嫌われたいのなら、エイミー様に『嫌い』だと言い続けるしかないと言いましたよね。実行して見ましたか?」
「した」
「そのとき、どんな気持ちになりましたか?」
「……普通だ」
「本当に?」
「本当に普通だ! 第一そんなこといつも言っているんだ! 何も変わらないだろうが!」
変わらないはずだ。いつもと同じだ。ただいつもより強めに言っただけで、エイミーに「嫌い」と告げるのは珍しいことではない。「嫌い」だと言ったところで、あの言葉の通じないモモンガはいつもへらへらして――
ライオネルはハッとした。
ウォルターはライオネルの前にもう一つパンを置いて、繰り返した。
「本当に?」
ライオネルは答えられなかった。
「……そうですか」
ウォルターは笑うのをやめて、パンの袋を持ってライオネルの対面のソファに異動した。
「殿下。これは殿下が向き合わなければならない問題なので、私からは答えは差し上げられません。でもね、一つだけヒントを差し上げます。以前私は、殿下がエイミー様に嫌われたいのなら、エイミー様に『嫌い』だと言い続けるしかないと言いましたよね。実行して見ましたか?」
「した」
「そのとき、どんな気持ちになりましたか?」
「……普通だ」
「本当に?」
「本当に普通だ! 第一そんなこといつも言っているんだ! 何も変わらないだろうが!」
変わらないはずだ。いつもと同じだ。ただいつもより強めに言っただけで、エイミーに「嫌い」と告げるのは珍しいことではない。「嫌い」だと言ったところで、あの言葉の通じないモモンガはいつもへらへらして――
ライオネルはハッとした。
ウォルターはライオネルの前にもう一つパンを置いて、繰り返した。
「本当に?」
ライオネルは答えられなかった。