王子様を落とし穴に落としたら婚約者になりました ~迷惑がられているみたいですが、私あきらめませんから!~
「あ……」

 つい、待てと呼び止めそうになって、慌てて口をつぐむ。

 呼び止めてどうするというのだ。

 エイミーがおとなしくなったのなら、ライオネルとしても万々歳だろう。

 ライオネルだって、毎日毎日まとわりつかれて迷惑していたのだ。だから、今のエイミーは歓迎されるべきであって、戸惑うことじゃない。

 ライオネルはソファに座って、エイミーが出て行った防音室の扉を見つめる。「殿下ぁ!」とうるさいモモンガがあの扉から飛び込んでくるような気がしたが、いつまで待っても扉は開かない。

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