王子様を落とし穴に落としたら婚約者になりました ~迷惑がられているみたいですが、私あきらめませんから!~
 エイミーはきゅっと唇を噛んで、それから意を決したように顔を上げると、まっすぐに大きな青い目でライオネルを見つめた。

「殿下……わたしたち、お別れしましょう」

「――っ」

 ライオネルは息を呑んだ。

 ドクンと大きく心臓が音を立てて、そのまま大きく早く鼓動が打ちはじめる。

 キィキィというブランコの音が、自分の心臓の音で聞こえなくなった。

「……なにを、言っているんだ……おい、モモンガ……」

 自分でも、何を口走っているのかわからない。

 動揺して、頭の中が真っ白になって、心臓だけが妙にうるさくて――ライオネルはわけがわからなくなった。

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