王子様を落とし穴に落としたら婚約者になりました ~迷惑がられているみたいですが、私あきらめませんから!~
「殿下――」
「何を言っているんだお前!」
気づけば、立ち上がって叫んでいた。
これは望み通りだ。望み通りなのだと心の中で何度も自分に言い聞かせようとするのに、ライオネルの口は止まらない。
「ふざけているのか? これは王命の婚約だぞ。そう簡単に解消できるはずないだろう! お前、どうかしたんじゃないのか? ああわかった! 風邪を引いたときに頭がやられたんだな! だったら俺がお前のとこの主治医よりも優秀な医者を派遣してやる! ああ、ウォルターはどうだ? あいつは優秀なんだ。だから――」
だから、今まで通りの意味不明なモモンガに戻れよと、ライオネルは叫びそうになった。
寸前で飲み込んだが、動揺はまったく収まらず、むしろさらに混乱して、ライオネルはがしがしと頭をかきむしる。
「殿下、わたしは……」
「うるさい!」
ライオネルは、続くエイミーの言葉を遮った。
「うるさいうるさいうるさい! お前、なんなんだ! いつもいつも鬱陶しくて意味不明なくせに、急に物分かりがよくなりやがって! 俺を揶揄っているのか? そうなんだな? そうなんだろう? それともあれか? ああそうか、あのときの約束を俺が無視しているから拗ねているんだろう! だったら今すぐあのときの賭けの報酬をくれてやる!」
「何を言っているんだお前!」
気づけば、立ち上がって叫んでいた。
これは望み通りだ。望み通りなのだと心の中で何度も自分に言い聞かせようとするのに、ライオネルの口は止まらない。
「ふざけているのか? これは王命の婚約だぞ。そう簡単に解消できるはずないだろう! お前、どうかしたんじゃないのか? ああわかった! 風邪を引いたときに頭がやられたんだな! だったら俺がお前のとこの主治医よりも優秀な医者を派遣してやる! ああ、ウォルターはどうだ? あいつは優秀なんだ。だから――」
だから、今まで通りの意味不明なモモンガに戻れよと、ライオネルは叫びそうになった。
寸前で飲み込んだが、動揺はまったく収まらず、むしろさらに混乱して、ライオネルはがしがしと頭をかきむしる。
「殿下、わたしは……」
「うるさい!」
ライオネルは、続くエイミーの言葉を遮った。
「うるさいうるさいうるさい! お前、なんなんだ! いつもいつも鬱陶しくて意味不明なくせに、急に物分かりがよくなりやがって! 俺を揶揄っているのか? そうなんだな? そうなんだろう? それともあれか? ああそうか、あのときの約束を俺が無視しているから拗ねているんだろう! だったら今すぐあのときの賭けの報酬をくれてやる!」