王子様を落とし穴に落としたら婚約者になりました ~迷惑がられているみたいですが、私あきらめませんから!~
 ライオネルは大股でエイミーに近づくと、ブランコの背もたれに両手をついて、その中にエイミーを閉じ込めた。

「でん――」

 驚いて目を見開いたエイミーの唇を、自分の唇で素早く塞ぐ。

 エイミーが息を呑んだのがわかった。

 唇はすぐに離そうと思っていたけれど、エイミーがかすかな抵抗を見せたせいで頭に血が上って、抑えつけるようにして口づけを深くする。

 体にぎゅっと力を入れて硬直していたエイミーは、突然、ハッとしたようにライオネルを力いっぱい突き飛ばした。

「や!」

 不安定なブランコの背もたれに手をついていたせいか、エイミーに押されてライオネルはよろめき、たたらを踏んでその場にしりもちをつく。

 だが、転んだことよりも、エイミーに突き飛ばされたことの方が――拒まれたことの方がショックだった。

 しりもちをついたまま、ライオネルは茫然とエイミーを見上げる。

 エイミーは今にも泣きだしそうなほどに、大きな瞳をうるうると潤ませていた。

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