王子様を落とし穴に落としたら婚約者になりました ~迷惑がられているみたいですが、私あきらめませんから!~
「エイミー様が逃げてここに来たってことは、まだお昼を食べていないんでしょう? その薬は食後ですからね。これを食べてから飲んでください」

「……ありがとう」

 食事を分けてくれたウォルターに礼を言って、ライオネルはソファに腰を下ろす。

 もそもそとサンドイッチを食べていると、ウォルターがパンを片手に対面に腰を下ろした。

「完全に立場が逆転しちゃいましたねえ殿下」

「どういう意味だ」

「どうって、気づいていないんですか? 今まで殿下の方が逃げていたのに、今じゃあ殿下が追いかけてエイミー様が逃げている。どうですか、追いかける側の気分は」

 ライオネルは愕然と目を見開いた。

 それから口をへの字に曲げる。

「……モモンガはすばしっこい」

「ははっ、そりゃあ殿下じゃなかなか捕まえられませんね」

「笑い事じゃない!」

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