王子様を落とし穴に落としたら婚約者になりました ~迷惑がられているみたいですが、私あきらめませんから!~
「な、にも……」
ない、と言おうとした唇が震えた。
ライオネルの目を見ていられなくて視線を動かせば、彼がため息をつく。
「ほら見ろ。お前は昔から嘘が苦手なんだ。特に俺相手には嘘がつけない。わかったら白状しろ」
「……ずるいです」
「ずるいのはどっちだ。理由も言わずに突然別れるなんて言いやがって」
「だってそれは――」
「それは?」
「…………言いたくないです」
エイミーはふるふると首を横に振ってうつむく。
入学してから、エイミーの頭上からいろんなものが降ってくるなんて、ライオネルには言いたくない。言えば優しい彼は、たとえ相手が大嫌いなエイミーであっても心配するだろう。ましてやライオネルを巻き込みたくないから別れたいなんて言えば、彼は絶対に納得しない。
ライオネルは長いため息を吐いた。
「わかった。言いたくないならいい。だが、別れないからな。お前は予定通り卒業後は俺に嫁ぐんだ」
「なんで!」
「なんで? それはお前が俺の婚約者だからだ!」
「だから別れるって――」
「俺は別れないと言っている」
ない、と言おうとした唇が震えた。
ライオネルの目を見ていられなくて視線を動かせば、彼がため息をつく。
「ほら見ろ。お前は昔から嘘が苦手なんだ。特に俺相手には嘘がつけない。わかったら白状しろ」
「……ずるいです」
「ずるいのはどっちだ。理由も言わずに突然別れるなんて言いやがって」
「だってそれは――」
「それは?」
「…………言いたくないです」
エイミーはふるふると首を横に振ってうつむく。
入学してから、エイミーの頭上からいろんなものが降ってくるなんて、ライオネルには言いたくない。言えば優しい彼は、たとえ相手が大嫌いなエイミーであっても心配するだろう。ましてやライオネルを巻き込みたくないから別れたいなんて言えば、彼は絶対に納得しない。
ライオネルは長いため息を吐いた。
「わかった。言いたくないならいい。だが、別れないからな。お前は予定通り卒業後は俺に嫁ぐんだ」
「なんで!」
「なんで? それはお前が俺の婚約者だからだ!」
「だから別れるって――」
「俺は別れないと言っている」