王子様を落とし穴に落としたら婚約者になりました ~迷惑がられているみたいですが、私あきらめませんから!~
「はいはいはい、鍵はかかっていませんよー」

 陽気な声がして、片手にパンを持ったウォルターが扉を開けて、それから目を丸くする。

「何してるんですか殿下」

「エイミーが気絶した。そして熱がある」

 ウォルターはさっと表情を引き締めると、ライオネルにエイミーをベッドに寝かせるように指示を出した。

 エイミーをベッドに寝かせると、パンを置いて手を拭いたウォルターがエイミーの脈を確かめ、それから熱を測る。

「微熱ですね。脈は少し早いですがまあ正常の範囲内です。少し休めば目を覚ますと思いますよ」

「そうか……」

 ライオネルはホッと息を吐き出す。

 突然エイミーがくたりとして動かなくなったので、心臓が凍り付きそうになったが、ひとまずは大事ないらしい。よかった。

「屋上にいろいろ置いてきたままなんだ。片付けてくるからエイミーを見ていてくれ」

「それは構いませんが……なんでエイミー様は気絶したんです?」

「俺もわからん!」

 ライオネルはエイミーに好きだと告白しただけだ。それなのに突然エイミーが気を失ったのである。ライオネルにも意味がわからない。

< 183 / 233 >

この作品をシェア

pagetop