王子様を落とし穴に落としたら婚約者になりました ~迷惑がられているみたいですが、私あきらめませんから!~
「で、お前は俺に嫌われていると思って、それから俺を巻き込みたくなくて別れることを決意した、と。そう言うことなんだな?」
しばらく抱きしめあった後で、エイミーはライオネルとベッドに並んで座って、別れを切り出すに至った経緯を説明していた。
エイミーの手はライオネルに握られている。まるで、手を放せば逃亡するのではないかと警戒されているようにエイミーには思えた。
(もう逃げないのに……)
ライオネルと婚約した五歳の時から、エイミーは彼と両想いになりたかった。ライオネルに好きになってほしかった。その願いが叶って、今はちょっとふわふわした落ち着かない気分になっているが、逃げるはずはない。だって、両思いなのだ。
(頭の上からいろいろ落っこちてくる問題はあるけど……でも、せっかく振り向いてもらえたのに、逃げたくないし……)
ライオネルを巻き込んでしまったらどうしようという思いは、もちろんまだある。
でも、両想いになれたのだから、今後どうするにしても、逃げ出した理由をきちんと説明してから考えてもいい気がした。
「どうして俺を巻き込むと思ったんだ?」
「シンシアがそう言ったんです。わたしもそうかもしれないと思いました。犯人の目的はよくわからないけど、わたしが狙われる理由で一番可能性がありそうなのは、わたしが殿下の婚約者だからです。わたし個人に向けられた恨みなのか、それとも、王継承問題の関連でわたしが狙われたのか判断がつきませんでしたけど、わたしが殿下に張り付いていたら殿下にも矛先が向く可能性もゼロではなかったので……」
「シンシア・モリーンか……」
ライオネルは考えるように顎に手を当てて、それから立ち上がると、ウォルターが使っている机の引き出しから紙の束を持って戻って来た。
「実は、お前が嫌がらせを受けていることについてはウォルターに頼んで調べさせていた。これが調査書だ。ええっと、そう、これだ。これは、お前が狙われた場所、日時、頭上から何が降って来たのか、その時の状況、天気に至るまでを細かい表にしたものだが……、お前めがけてものが降ってきたときに、高確率でシンシア・モリーンがそばにいる」
「そうですね。シンシアとはよく一緒にいますから。でもシンシアは犯人じゃないですよ」
ライオネルの言いたいことを先読みして答えると、ライオネルが怪訝そうな顔になった。
しばらく抱きしめあった後で、エイミーはライオネルとベッドに並んで座って、別れを切り出すに至った経緯を説明していた。
エイミーの手はライオネルに握られている。まるで、手を放せば逃亡するのではないかと警戒されているようにエイミーには思えた。
(もう逃げないのに……)
ライオネルと婚約した五歳の時から、エイミーは彼と両想いになりたかった。ライオネルに好きになってほしかった。その願いが叶って、今はちょっとふわふわした落ち着かない気分になっているが、逃げるはずはない。だって、両思いなのだ。
(頭の上からいろいろ落っこちてくる問題はあるけど……でも、せっかく振り向いてもらえたのに、逃げたくないし……)
ライオネルを巻き込んでしまったらどうしようという思いは、もちろんまだある。
でも、両想いになれたのだから、今後どうするにしても、逃げ出した理由をきちんと説明してから考えてもいい気がした。
「どうして俺を巻き込むと思ったんだ?」
「シンシアがそう言ったんです。わたしもそうかもしれないと思いました。犯人の目的はよくわからないけど、わたしが狙われる理由で一番可能性がありそうなのは、わたしが殿下の婚約者だからです。わたし個人に向けられた恨みなのか、それとも、王継承問題の関連でわたしが狙われたのか判断がつきませんでしたけど、わたしが殿下に張り付いていたら殿下にも矛先が向く可能性もゼロではなかったので……」
「シンシア・モリーンか……」
ライオネルは考えるように顎に手を当てて、それから立ち上がると、ウォルターが使っている机の引き出しから紙の束を持って戻って来た。
「実は、お前が嫌がらせを受けていることについてはウォルターに頼んで調べさせていた。これが調査書だ。ええっと、そう、これだ。これは、お前が狙われた場所、日時、頭上から何が降って来たのか、その時の状況、天気に至るまでを細かい表にしたものだが……、お前めがけてものが降ってきたときに、高確率でシンシア・モリーンがそばにいる」
「そうですね。シンシアとはよく一緒にいますから。でもシンシアは犯人じゃないですよ」
ライオネルの言いたいことを先読みして答えると、ライオネルが怪訝そうな顔になった。